知らない番号からいきなり営業の電話がかかってきたら、たいてい身構えます。自分がされて嫌なことは、お客さんにもしたくない。そう思っている経営者は多いはずです。
ただ、売り込まなくても、商品やサービスは自然に売れていく必要があります。そのためには仕組みが2つ要ります。1つは、見つけてもらってから申し込みまでたどり着いてもらう「導線」。もう1つは、問い合わせが来たあと、誰がどこまで話が進んでいるかを記録しておく「受け皿」です。片方だけでは、うまく回りません。今日はこの2つを、順番に見ていきます。
まず知ってもらう場所をつくる
私自身、以前からYouTubeで動画発信を続けています。売り込まずに買ってもらう流れの、いちばん最初の入り口になるのが、この動画発信です。
視聴者に価値のある情報を届け続けると、そこから連絡先を登録してもらえるようになります。まずLINEを登録してもらい、ほぼ同じタイミングでメールアドレスも登録してもらう。この2つを両方押さえておくのがポイントです。片方が届かなくても、もう片方から連絡が取れます。
ここまでは、まだ売り込みではありません。役に立つ情報を渡しているだけです。売り込みは、もっとあとに置きます。
案内は、順番を決めて自動で流す
連絡先を登録してもらったら、次に商品やサービスの中身を説明する動画を届けます。ここで初めて「こういうものを提供しています」という話が出てきます。
その動画を見た人には、オンラインでの個別相談を案内します。日程調整まで自動でできる仕組みを使えば、担当者が1件ずつ電話や文面で予定を合わせる手間がなくなります。相談の中で契約に進むかどうかを決める、というのが最後のステップです。
契約したあとも導線は続きます。サポートが必要な人には、チャットツールを使ったやり取りの窓口を用意しておく。ここまでを一続きの流れとして最初に設計しておくと、そのつど考える必要がなくなります。
問い合わせを、名簿の1行として見る
ここからは、届いた問い合わせをどう扱うかという話です。
ホームページに問い合わせフォームを作れる会社は、作っておいたほうがいい。これを「コンバージョン」と呼びます。あるレンタカー会社の例です。SNSで集客し、お客様の声をXに載せ、そこからホームページへ誘導していました。ホームページの中には、レンタルできる車種や地域名を盛り込んだブログ記事があり、検索から来た人がそのままページを読み、最後に問い合わせフォームへたどり着く、という流れができていました。
フォームに入力された情報が、いわゆる「リード」、つまり見込み客の情報です。大手の会社は、ここで届いた情報を専用の顧客管理システムと連携させ、誰に何を提案し、どこまで話が進んでいるかを一元管理していることが多いです。ただ、中小企業でそこまでやっている会社は、まだ多くありません。専用システムを一から作ろうとすると、費用も期間もそれなりにかかります。かといって、何も記録せずにメールの受信箱へ放置していい理由にはなりません。
専用システムを入れなくても、ここまでできる
最初の一歩は、専用システムを入れなくても作れます。ホームページの問い合わせフォームを表計算ソフトと連携させると、入力された内容がそのままシート上に一覧として溜まっていきます。「どこまで見積もりを出したか」「この人はもう他社で決まったので、フォローの必要がないか」を、記録として残せるようになります。
これは、いわゆる営業支援の仕組み(SFA)がやっていることを、簡易な形で肩代わりしています。営業の進み具合を記録する仕組み、と考えるとわかりやすいと思います。もう一段進めたい場合は、ノーコードで使える簡易ツールを使う方法もあります。一覧表だけでなく、いつ・どんなやり取りをしたかという営業活動の記録まで、同じ場所に残せます。案内を自動で送る仕組み(マーケティングオートメーション、MA)まで組み合わせれば、登録してくれた人への連絡も、そのつど手作業で送らずに済むようになります。
理想を言えば、フォームに入力された情報がそのまま管理ツールに流れ込み、そこで全部完結する形です。ただ、そこまで丁寧に作り込もうとすると、きりがありません。
まずは、問い合わせを「メールの1通」ではなく「名簿の1行」として扱うところから始めてみてください。入口の導線と、受け皿になる記録。この両方が揃って、はじめて売り込まずに買ってもらう仕組みが回り始めます。高い道具は、そのあとで十分です。
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