更新が止まったSNSアカウントを見て、気まずくなったことはないだろうか。人手が足りず、代表自身が空いた時間を使って更新を始めたものの、本業が忙しくなると手が止まる。3週間、長くても3か月。多くの中小企業がこのパターンをたどる。そこで「外に出そう」という話が出るが、踏み切れない理由はだいたい決まっている。任せた相手が何をどこまでやってくれるのか分からず、丸ごと預けるのが不安だからだ。実は外注は「全部お願いする」か「全部自分でやる」の二択ではない。何を渡して、何を社内に残すかを先に決めれば、負担を減らしながら運用を続けられる。
続かないのは、やる気の問題ではない
「誰かSNSをやってくれ」という掛け声は出ても、名乗り出る社員は多くない。ただでさえ人手が足りず、既存の業務で手一杯だからだ。結局、言い出した代表自身が「形ができたらスタッフに引き継ごう」と考えて自分で始める。ところがこの見立てはたいてい外れる。忙しい合間に投稿ネタを考え、写真を選び、文章を書くという作業は、思っているより時間を食う。3週間、長くても3か月で更新が止まり、放置されたアカウントだけが残る。
これは根性や工夫の問題ではなく、構造の問題だ。本業のかたわらで片手間にやる仕事として、SNS運用は重すぎる。更新の止まったアカウントは、何もしないより印象を悪くすることもある。半年前から動きのない投稿、増えないフォロワー。運用していないのと同じどころか、「この会社はちゃんとしていない」と見られかねない。ここまで来て、ようやく外注という選択肢が現実味を帯びてくる。
「丸投げ」と「自分で全部」のあいだにある選択肢
外注を検討し始めると、多くの経営者は「全部任せられるのか、任せられないのか」という一点で悩む。だが実際に運用代行の現場でよく使われている型は、もっと細かい。代表的なのが、素材の提供だけは発注側に残し、そこから先の原稿作成・投稿・スケジュール管理を外に出す、という切り分けだ。
写真や動画の撮影は、現場の空気や商品を一番よく知っている社内の人間にしかできない。逆に、それを文章にまとめて整った形で発信し続ける作業は、外の専門家に任せたほうが早く、安定する。この境界線を先に引いておくだけで、「うちは何もしなくていいのか」「どこまでは自分たちの仕事なのか」という不安がかなり減る。丸投げでも、自分で全部でもない、真ん中の選択肢がここにある。
外注先を探すときは、いきなり検索で見つけた先に問い合わせるだけでなく、付き合いのある取引先や、商工会・金融機関などが間に立つ紹介ルートを頼るのも一つの手だ。実績を確認しやすいだけでなく、紹介という経緯があるぶん、対応が丁寧になりやすいという利点もある。
発注前に、何を渡すかを先に決めておく
切り分けを決めたら、次にやるべきは発注前のすり合わせだ。現場でよく行われているのは、依頼主に直接、今のSNS運用で困っていることを聞くという地味な作業になる。「現在SNS運用でお困りのことは何かありますか」と尋ね、出てきた答えをそのままメモする。これを丁寧にやった提案ほど、話がまとまりやすいという傾向がある。
ここで発注側がやっておくべきことは2つある。1つは、今困っていることを自分の言葉で書き出しておくこと。もう1つは、素材の提供ルールをはっきりさせておくことだ。写真や動画は誰が用意するのか、撮影自体を依頼できるのか、追加の作業が発生したときの扱いはどうなるのか。ここを曖昧にしたまま契約すると、「これくらいはやってくれるはず」という思い込みのすれ違いが起きやすい。
続ける仕組みを、契約の形にしておく
運用を長続きさせるための工夫として、投稿をまとめて作成し、あらかじめ予約投稿しておくというやり方がある。数日分から1週間分をまとめて仕込んでおけば、担当者の都合で更新が止まるという事態を避けやすい。「更新が続くかどうか」を人の頑張りだけに頼らない仕組みにしておくことが、続けるための鍵になる。
もう1つ大事なのは、条件を口約束で終わらせず、文書にしておくことだ。対応するSNSの種類、更新の頻度と本数、追加費用が発生する条件、契約期間。これらを注文書や簡単な契約書の形で交わしておけば、後になって「言った、言わない」のトラブルになりにくい。写真映えを重視した凝った投稿づくりまで期待しているなら、それが対応範囲に入っているかも、契約前に確認しておく価値がある。
支払いの方法も、契約の段階で決めておきたい項目だ。毎月の請求書を発行して入金を待つやり方に比べ、クレジットカードでの継続課金にしておくと、支払い忘れによる遅延が起きにくく、双方にとって手間が少なくなる。請求書のやり取りをクラウド会計サービスに任せるかどうかも含め、「あとから決める」のではなく発注前にどちらが用意するかを確認しておくと、運用が始まってからのすれ違いが減る。
まずは今日、自社のSNS運用でどこまでを社内に残したいか、紙に書き出してみてほしい。素材の撮影だけは自分たちでやる、といった小さな切り分けからで構わない。全部を渡すか、全部を背負うかの二択をやめるだけで、次に外注先へ伝える言葉がはっきりしてくる。
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