「AIが見込み客を探してくれます」。道具の売り文句として、これほど心を動かすものはありません。営業先を探す作業は地味で時間がかかり、誰もが手放したい仕事だからです。私も初めて見たときは、これで営業の入り口が変わるかもしれない、と期待しました。
ただ、飛びつく前に知っておいてよい話があります。
「実際に客は取れたか」への、正直な返事
海外の利用者どうしの集まりで、ある人が単刀直入に尋ねていました。この機能で、実際にお客さんを取れた人はいますか、と。
返事の大半は「いいえ」でした。しばらく試したうえで解約を決めた、という人もいました。褒める声が並ぶ宣伝の世界と、使った人の答えの間には、これだけの開きがあります。私はこのやりとりを読んで、道具そのものより、確かめ方を学んだ気がしました。
敗因は頭の良さではなく、名簿の質
いいえ、と答えた人たちの理由は共通していました。出てくる相手先の情報が間違っていた、というのです。中には、間違った情報をもとに商談へ行き、先方の前で恥をかいた、という苦い報告もありました。
考えてみれば当然で、AIの賢さがどれだけ上がっても、元になる名簿が古かったり誤っていたりすれば、出てくる答えは間違います。営業は相手のある仕事です。社名や担当や状況が一つずれているだけで、信用はその場で崩れます。探す仕事の値打ちは、頭の良さではなく、名簿の鮮度と正しさで決まるのだと思います。
うまく使えている人は、順番が逆だった
一方で、少数ながら「使えている」と答えた人もいました。その人のやり方は、順番が逆でした。相手先の候補は自分の手で検索の記録などから集め、AIには、集めた情報を整えて厚くする作業をさせていたのです。
つまり、探すのはあくまで人間の側で、AIは整理係。この分担にすると、元の情報の出どころを自分が知っているので、間違いにも気づけます。丸ごと任せて出てきた名簿を信じるのとは、危うさがまるで違います。
買う前に確かめたい三つのこと
この話から、私は確認の型を三つ持つようになりました。第一に、名簿の出どころはどこか。第二に、その情報はいつ更新されたものか。第三に、間違いが見つかったとき、直す手立てはあるか。
売り文句には、たいてい出どころが書かれていません。尋ねて答えが曖昧なら、その名簿で商談に行くのは自分だ、ということを思い出してください。
試すなら、答え合わせのできる範囲で
それでも試してみたい、という場合の進め方も書いておきます。コツは、答え合わせのできる範囲で試すことです。道具が出してきた相手先の中から、自分がすでによく知っている地域や業種のものを選び、その情報が実際と合っているかを自分の目で確かめる。
知っている範囲での正答ぶりが、知らない範囲での信頼度の見積もりになります。ここで間違いが目立つようなら、知らない土地の名簿はもっと危ういと考えるのが自然です。逆に、確かめもせずに、いきなり知らない相手への連絡に使い始めるのは、順番として危険です。
いちばん質の良い名簿は、すでに手元にある
そしてもうひとつ。実は、どんな道具が集めた名簿より確かなものを、多くの会社はすでに持っています。過去に問い合わせてきた人、一度取引のあった相手の台帳です。連絡先は本物で、関心があったことも確かめ済みです。
外に新しい相手を探しに行く前に、まず手元の台帳を整える。地味ですが、外れのない順番だと思います。
当てはまる人だけへ
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